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午前三時のルースター

第17回サントリーミステリー大賞・読者賞ダブル受賞

舞台は、九十年代前半のベトナムと日本。心に飢えを抱き、求めるもののために、今存在する自分の世界から突き抜けていこうとする人間と、突き抜けられない人間の話。

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ぼくの一作目。
舞台はベトナムと日本。
求めるもののために、今存在する自分の世界から突き抜けていこうとする人間と、突き抜けられない人間の話。

三十歳になったとき、このテーマ取りを思い立ち、一念発起して書き始めました。
当時は旅行代理店(某K社。今度某N社と合併することになったそうな)に勤めていて、とにかく仕事が忙しかった!(ところが、今でも当時の上司は、「しっかしおまえ、会社に遊びに来てたろ? 遊んでいたとしか思えんけどなぁー」なんて、口さがないことを申します。はは……)

午後十時ごろ、ボロ雑巾のように疲れて家に帰ってきて、飯を食い、風呂に入る。それから毎夜机に向かう。気分が乗れば、朝方までワープロ(当時)を打っていました。
睡眠不足の目を擦りながら、会社に行き、お客の間を飛び回る。そんな暮らしが二年つづき、ようやく書き上げた作品です。

ちなみに、作中人物『源内』は、高校時代の友人をモデルにしました。
しかし、当時のベトナムは活気があったなー。九十年代前半。時代の黎明期の、混沌と希望って感じです。

ところでみんな、ベトナムって国を誤解していない?
特にサイゴン(現ホー・チ・ミン)。
不潔だし、無秩序だけと、あれだけ独特のニュアンスの漂っている街は、そうザラにはないと思うよ。

ちなみに、この作品の出だしの一文は、こうです。
「成田空港のパーキングには、雨ざらしになったまま放置されているクルマが常時数台はあるという……」

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