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ヒートアイランド
資本主義社会のメッキが剥がれた街・渋谷。ストリートギャングの若者たちと、裏金強盗のプロフェッショナル。この二つのベクトルが、奪われた金をめぐって虚々実々の駆け引きを繰り広げてゆく。
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二作目。これにはきっかけがあります。
十数年前、ぼくは学生で、まだバブルの絶頂期でした。
割のいいアルバイトには不自由せず、コンパだ打ち上げだと飲み歩き、学生達は企業内定を、まるでトランプゲームのようにいくつも両手に抱えていました。
そんな自分と同じような学生に、卒論の調査かたがた、ふと思いついて聞きまわってみたことがあります。
「これからの将来、あなたは、あなたを取り巻く状況は、良くなっていくと思いますか?」
答えは、すべて、ノー。
たぶん、みんなもどこかで感じていたんでしょうね。
それでも、ぼくを含めて、真剣に考えることから逃げ、どこか流されて生きていたんでしょうね。
この「ヒートアイランド」は、それが現実となった社会の中で苛立ち、うごめき、なんとかその殻を突き破ろうとする男たちの話です。
境界からこぼれ落ちそうになっている若者たちと、完全にドロップアウトした法の外の住人たち。
年齢も、置かれた立場も違うこの二つのベクトルが、奪われた金をめぐって、追うものと追われるものに。その金に絡む利権が、さらに新たな集団を巻き込んでゆきます。
それら異種の男たちが、勝者の座をめぐって、虚虚実実の駆け引きを繰り広げてゆくというストーリィです。
最後に残るものと、「ヒート アイランド」の意味。答えはすべて、ラストです。
この作品の書き出しの一文は、こうです。
「暮夜に雨はやんでいた……」