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武田の金、毛利の銀
『光秀の定理』番外編。
盟友、愚息と新九郎、再び。
上洛した織田信長に呼び出された明智光秀は、とある任務を下される。
徹底した数の信奉者である信長は、敵対する大名の武力を把握する必要があった。中でも武田家と毛利家の資金源である湯之奥金山と石見銀山の見定めることは不可欠である。そのためには敵地の中枢に潜り込み、金と銀の産出量を示した台帳を確認しなくてはならない。見つかれば命の保証はない危険な道中である。
光秀は盟友の新九郎と愚息を伴ってまずは隠密裏に甲州へ向う。駿河の田子の浦にたどり着いた三人は、土屋十兵衛と名乗る奇天烈な男に出会い―。
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単行本
KADOKAWA
1980円(税込)
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戦国時代の武力も所詮は資本力次第だったという、
身も蓋もないお話です(笑)。
『武田の金、毛利の銀』は、簡単に言えば『光秀の定理』のスピンオフです。
明智光秀が信長の密命を受け、旧友の愚息・新九郎と共に敵地へ赴くというあらすじで、もともとこの三人組のキャラは気に入っていたので、そのうちに番外編も書ければと思っていました。
私は、今までの歴史小説は『ワイルド・ソウル』や『ヒートアイランド』のように、岩盤に掘削機をガシガシ打ち込むようなノリで書いてきましたが、この『武田の金、毛利の銀』は、どちらかと言えば『君たちに明日はない』みたいなニュアンスで、筆先を軽く転がすような感じで書いています。ま、このような書き方も意外にお気に召してもらえれば、光秀の番外編は再び書くことがあるかも知れません。
ちなみに今回、土屋十兵衛という武田家の家臣が、ひょんなきっかけで甲斐の身延山から明智光秀たち三人と、石見まで同行することになります。徐々に明らかになる彼の正体も楽しんでもらえればと思います。