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Vol.057
文庫版『狛犬ジョンの軌跡』、7月9日(木)に発売です & 以前からチト思うこと。

2015年7月9日

どうも長らくご無沙汰しておりました。

週刊新潮で一年以上続けていた『室町無頼』の連載も、ようやくあと一週分の原稿を書き上げるのみとなりました……長かったなあ、ここまで。
連載を終えた後は、しばらくゆっくりしようと思います。けっこう疲れが溜っています。

さて、光文社より文庫版『狛犬ジョンの軌跡』が7月9日に発売になります。その内容は以前の単行本発売の時に書いたので割愛しますが、まあ、ある意味では題名まんまのお話です(笑)。よろしければ手に取ってみてください。

で、ここからは、また別の小話。
これは、『狛犬ジョンの軌跡』の主題とも多少は絡む話でもあるのですが、この二年ほど、ずっと気になっている歌があります。

正確にはこの曲の中の歌詞、
ありのままの姿見せるのよ ありのままの自分になるの
と言うフレーズの部分……。
うーん……。やはり溜息しか出ない。小耳に挟むたびに、常に違和感を覚える。

『ありのままの』姿・自分って、本来そんなの存在するのか?
なろうと思って、果たしてなれるものなのか(苦笑)?

人間は、生まれたときから周囲の人を含む環境に絶えず彫琢され続けて、初めて基本人格が出来上がるわけで、そういう意味で『ありのままの自分』なんて、既に三つ子の頃から存在しないと思うんだけど……。
というか、物心がついてからは『ありのままの姿』でいられることなど無いからこそ、人間だと思うんだよね。

映画のストーリーと照らし合わせ、ある意味で逆説的な意味だと理解するも、このフレーズだけがテレビ、ラジオを介して一人歩きすることは、やはりヤバいなあ、と感じる。

少なくとも私は、『ありのまま自分でいたい』なんてのたまう人間に信を置くことは、今後もないだろうなあ。

以上、小話でした(笑)。ではみなさん、ごきげんよう。

垣根涼介

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