information

Vol.080
鹿児島市での講演会のお知らせ。
海音寺潮五郎記念文化講演会・「衆望」について。

2024年9月24日

皆さんどうもこんにちは。
今年の異常な暑さもようやくひと段落しそうですね。私は先月の散歩中、海辺で一度は倒れそうになりました(笑)。

さて、10月26日(土)に鹿児島市で文化講演会を行います。
講演する題目は「衆望」としました。
鹿児島は、幕末の偉人・西郷隆盛を輩出した土地です。同時に彼は、日本史上で最も世間から「人望」のある人物でした。ですが私は、さすがに鹿児島県民の前で西郷隆盛について語る度胸は持ち合わせておりません(苦笑)。

おそらく彼は鎌倉幕府樹立以来、幕末まで700年弱も続いた武家政権―その武士の精神性から不純物を徹底して蒸留した、「空(くう)」に近い人格ではなかったのかと想像します。

この生前の西郷隆盛については、大村益次郎という人物が明治維新直後に、「やがて足利尊氏の如き者が、九州から攻め上がってくるだろう」と予言しており、その言葉は不幸にして西南戦争という現実となりました。

足利尊氏と西郷隆盛。
この二人に共通する点は、当時の政権(朝廷や明治政府)を転覆させかねないほどに人々からの人気が圧倒的だったということです。皆、彼らを喜んで神輿の上に担ぎ上げました。
ですが、その人気の在り様は(私から見るに)微妙に色合いが違います。

西郷隆盛はその精神的な在り様で純粋に人々を引きつけましたが、足利尊氏は「この『お人好し』に付いて行けば、なんかいいことがある」と皆に思わせるような人気者でした。つまりはもっと俗っぽい、個々人の欲心も込みでの人気者でした(笑)。
私はこの尊氏に関しては小説を書きましたから、多少のことは語ることが出来ると思います。なので、この尊氏の「衆望」について語ります。

「衆望」を辞書で引くと、「大勢の人たちから寄せられる期待・信頼」とあります。「人望」とは似ていても、やはりどこか違いますね。
私がこの「衆望」を語ることによって、聴講される皆さんが西郷隆盛の「人望」を考える上での一助となれば幸いです。

この講演に参加ご希望の方は、以下のアドレスからお申込みいただければと思います。
参加費は無料となっております。では、お会いできる方は当日に会場でお目にかかりましょう。

令和6年度海音寺潮五郎記念文化講演会の開催のお知らせ

垣根涼介

※こちらの内容は、メルマガ「垣根涼介 Dawning Mail」にて配信しております。配信をご希望の方はこちらよりお申し込みください。

トップへ